夏至キャンドルナイトにはカーボンニュートラルなキャンドルを」
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既にキャンドルナイトのツリーが立っていますが、こちらではその時に使うローソクについて考えてみたいと思います。
最近、カーボンニュートラル、あるいはカーボンナチュラルといった言葉をよく耳にします。たとえば木材を燃やした時、そこで排出されるCO2の炭素は 100%光合成で得られた物ですから、木を育てて薪にして燃やすという行為の中ではCO2は増えません。排出はしていますが、光合成による炭素の吸収と相殺されますから、プラスマイナスゼロなのです。これがカーボンニュートラルです。
これに対して、石油などの化石燃料に含まれる炭素は、推定百万年以上前に地底深く閉じこめられた物ですから、現代においてこれを燃やすということは、百万年前の炭素を時空を超えてバラ撒くことになります。これが地球温暖化の主役になっているCO2問題の核心です。
そこで、以前のいわしでも、同じキャンドルの炎を楽しむなら、石油製品の一種であるパラフィンで作られたローソクではなく、カーボンニュートラルな素材で作られた物を使おうと呼びかけられてきたわけです。これらは植物油を使うことでカーボンニュートラル化を達成しようというアイデアです。
■ 使い古し天ぷら油でロウソクを作る
http://q.hatena.ne.jp/1183005936/101171/
冬至の夜は《灯明ナイト》
http://q.hatena.ne.jp/1229489225/197076/
このほか、忘れてならない物に、伝統の「和蝋燭」があります。和蝋燭に使われているロウは櫨の実などから採取される100%植物性のロウですから、すばらしいカーボンニュートラルなロウソクです。
和蝋燭のすばらしさはそれだけではありません。和蝋燭の光にはとても風情があるのです。その秘密はイグサで作られた独特の芯の形状にあり、ファラデーの法則で名高いイギリスの科学者マイケル・ファラデーは「ロウソクの科学」の中で、この和蝋燭独特の換気構造を驚嘆しながら取り上げています。
また和蝋燭は石油パラフィンのロウソクに比べて輝きが強く、ススが少ないという特徴も持っています。
もう一つ、石油パラフィンが一般化する以前の洋ロウソクに使われていた蜜蝋も忘れることは出来ません。蜜蝋というのはミツバチの巣に使われている成分で、働きバチが腹部から分泌します。これも元を正せば蜂蜜で、光合成によって作られた成分ですから、それによって作られる物もすばらしいカーボンニュートラルなキャンドルです。
ちなみにミツバチが一生かかって分泌する量は、ほんのスプーン一杯ほどと言われていますから、一本のキャンドルには、それは数え切れないくらいのハチたちの貴重なロウが使われているわけですね。
また、蜜蝋はオレンジがかった黄色をしていますが、この色は花の種類や季節によって、微妙に変わってくるのだそうです。このことからも、本当に蜜蜂が作っているロウなんだということがわかります。
蜜蝋のキャンドルは、ほのかに蜂蜜の香りがします。蜜蝋のキャンドルは、火を付けずに机の上などに置いておくだけでもすてきなキャンドルです。
昔のヨーロッパでは、人々は蜂蜜よりも蜜蝋を欲しがっていたので、蜜蜂は主に蜜蝋を取るために飼われていたと言われています。現代でも教会に捧げられるキャンドルには、ナチュラルな蜜蝋製の物が使われると聞いています。
さて、気になる価格ですが、和蝋燭、蜜蝋キャンドル共に、小さな物なら数百円から見つかります。ただし、安い物はたいてい混ぜ物がされています。混ぜ物に石油パラフィンが使われていると、その分カーボンニュートラルが損なわれますが、私が買ってきた和蝋燭には東南アジア産の木の実(何の木の実かは不明)から採取した油脂が使われているとのことで、国境を跨いでしまいますが、地球規模ではカーボンニュートラルと考えて大丈夫そうです。一応植物由来のロウ 100%であることは確認しています。
蜜蝋の場合はほとんどが輸入品ですから、本当に蜜蝋100%かどうかは、日本で販売している業者さんでも、はっきりとしたことは分からないのが実情だろうと思います。しかし、蜜蝋にはフェアトレード製品があります。フェアトレード製品なら輸入業者が生産者をきちんと確認して契約しているはずですから、100%混ぜ物なしという保証はないものの、かなり信頼はできると考えていいと思います。
これらのカーボンニュートラルなキャンドルは、和蝋燭なら仏具を取り扱っているお店、蜜蝋キャンドルなら雑貨店などで入手できますし、通販でも手軽に買い求められます。今から用意すればキャンドルナイトに十分間に合いますので、ぜひ今年は二酸化炭素排出プラスマイナスゼロのキャンドルナイトにしていきましょう。


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