「川の流れに花びらが」by id:shig55


川沿いに桜並木が作られているところが多いですね。私の近所の川にも桜並木が作られています。サクラの枝が川側に伸びて水面に近づくように広がっています。橋の上からの眺めはすばらしいという言葉以上の美しさです。川面の上に桜色のかたまりが載っているような見事な存在感です。このような満開のサクラを楽しむのも好きなのですが、もっと風情を感じるのは川を流れる花びらです。一ひら二ひらと、流れていく小さな花びらもすてきなのですが、帯のように川面に筋を作って流れていく様子にも見とれてしまいます。ピンクの帯がいろいろな模様を描きながら流れていきます。渦を巻いたり、波の間に間に見えつ隠れつ流れていく姿もすてきです。流れの緩やかなところでは一面に広がったピンクの絨毯が広がります。
サクラの花は一枚一枚の花びらがその一番の盛りの時、その美しさを保ったまま花を離れ、新しい生へと旅立つという話を聞きました。ちょっと情緒的な話なのですが、でも、サクラを見ていると一番の盛りの時に散るという潔さは感じます。老いて散るのではなく一番美しいときに散る。その散った先が川面ならまた新しい生を受けて動きの美しさを表現しているようにも思います。
花は受粉して子孫を残すために咲くのが使命なはずですが、サクラの花を見ているとそのような生物学的なこと以上に、生まれ成長し、精一杯の美しさを表現するために散っていくようにも感じてしまいます。
一度開花し始めた桜が、ぶり返した寒さのために足踏みをしていました。やっと暖かさな戻ると共に一斉に開花が進みそうです。見上げて花見を楽しむのも嬉しいのですが、川の流れに最後の美しさを誇示している桜を眺めるのもまた一興ではないでしょうか。


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