イエコト・ミシュラン

「沼津垣・植物から潮風を遮り、景観も美しくする」by id:fwap


私の生まれ故郷は沼津の漁港地区。いまから70年くらい前、第二次世界大戦前くらいまでは毎日大漁だったので活気でした。その中でも、市の中心部を一直線に結ぶ沼津駅から沼津港までの蛇松線という路線があったほどです。それが、今では漁業資源の大量捕獲、潮の大きな変化に伴う漁場の変化、漁師になる世代の減少・・漁港は釧路、気仙沼、境どこもさびれている現状です。さびれた漁港というのが私のイメージでしかないのですが、それがとても残念で仕方ありません。
ただ、かつて華々しかった漁港とは対照的に、私の近所には松林が多く、そこには沼津垣というのが静かにたたずんでいます。沼津垣とは、一般的な竹垣の一部です。沼津周辺は冬は風が強く、潮風が内陸まで運ばれます。そのため、畑の土は塩で荒れ果ててしまい、あるいはトタンやちりとり、小学校のドアのサンなども錆び付いてしまうほど古くから恐れられてきました。経済的な損失も計り知れないと思います。沼津垣は古くから存在する民家や蛇松鉄道の名残である蛇松緑道の一部に、あるいは若山牧水記念館の周りに使われていることが多いです。
沼津を離れてから、沼津が木の工夫や先人の潮風・塩害に対する苦悩の歴史を知りました。都内にも沼津垣が見られるところがあったので、昨年ですが見てきました。竹垣の風を防ぐ機能、沼津垣の折り込み。。当時の工芸に携わる人の技術力の高さを思い知らされました。日常生活への貢献、非日常としての芸術、この2つを兼ね備えた沼津垣の魅力にとりつかれました。自分で作ることができるようになれたら、うれしいんですけどね。
参考までに、wikipediaと写真付きサイトを紹介しておきます。
景観に馴染む、竹独特の安心感がありますよね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%BC%E6%B4%A5%E5%9E%A3
沼津垣
http://www.uchiyama.info/oriori/kentiku/kakine/numazu/
沼津垣