「ちろりと杯」by id:atomatom


「ちろり」というものを知らない方も増えているんじゃないでしょうか。酒をお燗するときに使うものといったら電子レンジのほうが一般的になりましたものね。居酒屋に行ってもそうですし、給湯器のようなお燗の機械を利用の店が多いですもんね。
「ちろり」というものはその中に酒を入れて湯煎して温める容器なのです。高級なものは錫で出来ていて、というのも錫は熱伝導率がいいので、早く温まるんです。しかも熱を逃がしにくいのでいったん温めると冷めにくい。
徳利で燗をつけるより早くて、しかも冷めないところが優れものなのです。
さかずきというもの、昔はなんであんなに容量の小さいものでちびちび飲まないといけないんだろうと疑問でした。コップでぐいぐい行く方が手間がかからなくて便利だろうと。
ところがわざわざさかずきに移して飲むのにももちろん利点があって、まずは飲む分だけちろりから注ぐことで冷めにくくなる。それから、適量で酒が終わるという、ここが実に大事なポイントなのですね。
さかずきにうまく酒を注げなくなるほど飲んではいけない、ということを先人は教えてくれているわけですよ、きっと。


煙草にしても酒にしても嗜好品は雰囲気を整え、少しずつ古来の手法にのっとって楽しむのがいいのだと思います。


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