#016 ピックアップ賞・ノミネート賞
さて、今日は“ディア・ライフ”#016のピックアップ賞・ノミネート賞のご紹介です。今回のイエと家族の物語は、「いつもの光景……わが家ならではの暮らしの習慣」のテーマで、思い思いのユニークなエピソードがいっぱいでした! 朝の幸せな食卓の光景「実家での目覚め」や、「神社の前でパンパンと手を合わす」という小さな息子さんの可愛い姿、朝のお出掛け前と夜のおかえり時間に家族が揃う「わが家の習慣」……。そして、家族やペットや自家菜園をはじめ、さまざまな暮らしのシーンを語ってくださったショート・エッセイがずらりと並び、ここにまた素敵な1章が生まれました!
そのなかから今回も、一つひとつの家族像が浮かび上がるあたたかなメッセージを、ピックアップ賞・ノミネート賞に選ばせていただきました。どれも“ディア・ライフ”と呼ぶにふさわしい、小さな宝物のような暮らしの光景が胸に響きますw
*今回のピックアップ賞は、8月26日(金)の〈イエはてな Press Room〉の記事にてご紹介させていただきます。
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わが家というか、わが家を取り巻く人たちならではだなぁと思うのは「お裾分け」です。以前「みどりのお裾分けのお付き合い」という話を書かせていただいたことがありましたが、
http://q.hatena.ne.jp/1239943947/213985/#i213985
今でもお隣さんとは、植物の種も、庭やベランダで育った花や野菜もお互いにお裾分け。今年の夏もお裾分けしあって挿し芽にしたトマトが、両家の庭でたわわに実っています。
こうなると一軒では食べきれないくらい採れますから、それをまた別のご近所様にお裾分け。すると今度はそのお宅から、休みで行った田舎でもらってきたからなどと、色んなお裾分けが届きます。道で出会ったご近所様と、こんにちは〜のあいさつだけでなく、この間のあれ、おいしかったですよと声を交わせるお付き合い。そんな輪が広がっていきます。
今年は弟が庭に柵を立ててキュウリを這わせて育てていますが、取れたての触るとイボがチクチクするようなキュウリなんてお店では買えませんから、これがご近所で大人気。「あら、ほんとに新鮮ね〜」なんて言われると弟もうれしいですから、わざわざ早朝の庭に出て、顔の合うご近所様にチョキンと切っては配っています。
先日はそのお返しにとトウモロコシをどっさりいただいてしまいました。それをまた庭で焼きトウモロコシにして、ご近所様にも「一緒に食べましょうよぅ」とお声をおかけして、ちょっと楽しいお祭り気分。こんな下町みたいなご近所付き合いが、うちの周りにはあるんです。
私の趣味はパン作りですが、焼く時はどっさり焼いて、これもご近所様にもお裾分け。パン作りもアートと同じで作品の発表の場がほしいんです。ご近所にもパン作りが好きな人がいて、新作が出来ると持ってきてくれます。
「うわ〜、この食感、どうやったら出せるんですか?」
「それはねぇ…」
こんなふうに知識と技術もお裾分け。楽しいコミュニケーションのひとときです。
母もご近所のベテラン主婦の皆様とお裾分けをしあって、レシピや味付けや調理のコツなどを情報交換。わが家の味がご近所に広がるのも、色々な味がわが家に集まるのも楽しい出来事です。
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親子でお風呂なんていうと子供みたいですが、こんな習慣が生まれたのは私が大人になってから。
父が出張で数日イエを空けていた時、
「一人いないと結構寂しいね」
「一人がお風呂に入っちゃうと残った一人はほんとに一人だね」
「じゃ一緒に入っちゃおうか」
みたいな話になったのがきっかけでした。
狭いバスルームですから、大人が二人で一緒に入るのはちょっと窮屈です。
でも季節はちょうど夏。
一人はバスタブでゆっくり半身浴。
もう一人はシャワーを浴びて、ゆっくりゆっくり全身に磨きをかける。
そんなやり方でじゅうぶん二人一緒のバスタイムが楽しめました。
女はお風呂の時間が長いもの。
その時間を同じ場所で共有できるのは、とても新鮮な出来事でした。
なにより、次を待っている家族がいないのですから、全く時間が気になりません。
時間を気にせずほんとにゆったり。
まるで温泉でくつろいでいるような気分です。
「これからは、お父さんのいない夜はこれを恒例にしようか」
「賛成!!」
「お父さんだけ仲間はずれ」
「うひひひひ」
こうして父の知らない母と娘だけのヒミツの習慣が生まれました。
冬場はちょっとやりにくいので季節限定の習慣になりますが、今がちょうどそのシーズン。
「すまん、今日は付き合いで遅くなる」
父から電話がかかってくると、「いいよー、終電まで帰ってこなくて」。
さぁ、バスルームで楽しむ飲み物も用意して、今夜は特別なバスタイムが決定です。
やっと父が帰ってくるころには、二人とも磨きがかかってピッカピカ。
新品同様でお出迎えです。
父は、「二人とも待っててくれたのか」なんて喜んでいますが、べつに待ってたわけじゃないのよねぇ。
二人でゆったり時間を楽しんでいたら、結果的にお風呂上がりがこんな時間になっただけ。
でも、そんなことは言わずに「おかえりなさーい」。
女の長湯で、家族みんなが幸せです(笑)。
こんな話を友だちにすると、あんたんちは仲いいねぇと驚かれます。
私も大人になってからこんな親子の付き合い方ができることって、ちょっと奇跡なのかもしれないと思います。
だから本当に大切にしたいこの習慣。
世界でただ一人の特別な相手との、とびきり特別な時間を過ごす習慣です。
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最初に聞こえてくるまな板の音は、母が味噌汁を作っている音・・・・ではありません。窓の外で、父が鳥に食べさせる青菜を刻んでいる音なのです。まずはチャボ。早くくれと急かしているようなコッコッコッという声や、バタバタという羽音も聞こえます。それに合わせてトントントンと軽快なまな板の音。
「さあできた。ほらほら、今あげるから。おっと、お前はいつも意地悪だなあ。そんなに羽根を広げたら他の子が食べられないだろう」
父が楽しそうに鳥たちに声を掛けています。
「さあ、次はお前らだ」
今度は、ぼーぼーぼーと鳩の声が聞こえてきます。鳩にもビタミン補給の青菜が欠かせません。鳩には刻まず、そのまま大きな葉っぱをついばませます。
一時期、これに加えてもう一回、まな板の音が聞こえた時がありました。どこからか烏骨鶏が迷い込んできたことがあったのです。チャボも烏骨鶏も鶏の仲間ですが、小さなチャボと大きな烏骨鶏では体格が違いすぎますので、一緒の小屋で飼うわけにはいきません。そこで急ごしらえで烏骨鶏小屋を作っていたのでした。
「お前はどこから来たのかなあ。お前のご主人、きっと探しているはずなんだがなあ。この近所に烏骨鶏を飼ってるイエなんてないんだよなあ」
父は毎朝、そんなことをこの迷子烏骨鶏に話しかけていました。
そうした窓の外の音が終わってから、台所で朝食を作る音が聞こえはじめます。鳥達は早起きですから、父のまな板の音は、母の朝食準備の音よりずっと早い時間帯なのでした。子供の私はそれからのそのそと起き出していきます。
わが家はリビングと言うより茶の間。畳の部屋の生活でした。もう洋室のリビングが当たり前の時代でしたが、父が和室を好んだのです。そんな父のいるイエでしたから、朝の挨拶もなかなか古風。私は寝ぼけ眼で畳に座り、両手をついて「おはよーございます」。父も読んでいた新聞を置いて正座をして、「はい、おはようございます」と応じてくれました。「さぁ、顔洗っておいで」、「はーい」。あとはごく普通の砕けた日常ですが、朝一番の挨拶だけは威儀を正すのもわが家の習慣だったのです。
わが家は正月にも家族一同正座して並び、両手をついて新年の挨拶を交わした後、新春を言祝ぐ和歌を唱和するという、時代劇でも見ないような古風なことをやっていましたが、とにかく年の始めや一日の始まりだけは大切にするのが習慣だったんですね。よそのイエではそんなことしないと知ってからはちょっと気恥ずかしくもありましたが、それだからこそかっこよくて、好きだなあと思う習慣でした。
顔を洗っている間も聞こえてくる朝食準備の音。またトントントンとまな板の音が聞こえてきます。あれは漬け物を刻んでいる音でしょう。子供は漬け物なんて好きではありませんが、唯一カブや大根の葉を塩漬けにした物は好きでした。毎朝の鳥達の青菜とお揃いみたいだったからです。あ、目玉焼きの匂いがしてきました。
「おかーさん、お腹空いた!!」
私は食卓目がけて駆け込みます。
誰の心にもきっと幸せな記憶を呼び起こす、まな板の音。私の場合は、それが父と母の両方の記憶につながります。両親二人のまな板の音が聞こえる朝の習慣は、きっとわが家のオリジナル。今は私一人がその音を奏でますが、幸せな思い出があるから寂しくはありません。
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最近のわが家の暮らしの習慣は「無電源夕食」。ようするに毎晩キャンドルナイトをやっているわけですが、これがなかなかすてきなのです。まず食事の時間はテレビを消しますから、その分語らいが進みます。
最近は世相が混沌としていますから、食事の時間にはちょっと不似合いな社会派の話題なども飛び出しますが、テレビのニュースショーでどっちつかずの意見を聞かされるより、生身の家族の考えを聞き、語り合う方が、しっかり社会を見る目が育つなぁと思います。テレビ関係の人には申し訳ありませんが、日本中がテレビを消してその時間を家族の語らいに変えたら、ちょっと日本が変わるかもしれないなんて、そんなことを思ったりするひとときです。
無電源ではBGMも鳴らせませんが、わが家には手回し蓄音機とコレクションのSPレコードという強い味方があります。これで往年のJazzの名盤を鳴らしたりするのがすてきなのですが、浪曲のSP盤がまとめて手に入ったので、最近はそんなのを聴くこともあります。森の石松の一席。「寿司食いねぇ、押し寿司ってぇのはうめぇもんだ」。ええーっ、石松が勧めていたのは江戸前寿司じゃなかったんだ!変な所に驚きつつ、日本文化に触れる一夜になったりもします。
こんな楽しい企画が自由自在なのもテレビのない夕食のいい所。流れてくる番組をそのまま受け入れて娯楽にするのとは違う、とてもクリエイティブなひとときが楽しめます。手回し蓄音機がないご家庭は、オーディオプレイヤーとアンプくらいは電気を使ってもいいのではないでしょうか。今宵はハワイアン、明日は南国奄美の民謡などと、趣向を凝らしたBGMで文化の香り高い夕食を楽しんでみてください。
電灯を必要としない夕食は場所を選びませんから、ベランダで食べたり庭で食べたりも思いのまま。最近は地震が恐いので、室内ではもっぱら太陽電池で充電したニッケル水素電池で灯すLEDランタンが夕食の灯り。本物のキャンドルを灯したい時は庭に出ます。先日は、庭で涼みながら夕食を食べていたら、ジーー、ジーーという音が聞こえてきました。「しーっ、静かに…聞こえた?」「聞こえたオケラの鳴き声だ」「まだいるのねぇ」。無電源夕食はキャンプの夜みたいですから、ちょっと自然界との距離も近くなります。
夕食を彩るキャンドル作りも楽しいものです。母は水に浮かべて火を灯すフローティングキャンドルがお気に入り。父はぶっとい巨大キャンドルを作り、合計何時間燃やし続けられるかと累計時間の記録をつけています。私は小型のカレー用ソースポットみたいな物を見つけてきて、それにロウを注ぎ入れて、アラジンと魔法のランプに出てくるランプのようなキャンドルを作ってみました。まだ当分屋外で夕食が楽しめる季節は続きますから、みんなの手作りキャンドルを順繰りに灯して楽しみます。
こんな風にテーマのある夕食が恒例になると、家に帰るのが楽しくなりますね。時々、今夜一杯やろうぜと誘ってくる友人を逆にわが家に誘ってくることもあります。父もそんな同僚を連れてくることがあります。そんな家族以外の顔ぶれが並ぶことが不自然ではないのも、わが家の習慣の特徴かもしれません。
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わが家は何かというと置き手紙をします。毎日朝食も夕食も必ず一緒に食べますし、それ以外も家族で過ごす時間は長いのですが、文字でやり取りした方が考える時間が取れていい。そういうこともあるというのがわが家流なんです。
たとえば、こんなのがありました。「○○のおじさんが還暦を迎えるので何か贈り物をしたい。親戚一同で贈るから予算は少し張っても構わない。コルクボードに紙を貼っておくので、いいアイデアがあったらそこに書いてくれ」。
うーーーん、これは難問です。コルクボードの紙には質疑応答が続きました。「おじさんの趣味は?」「旅行かな」「まだ仕事続けてる?」「もちろん」「年賀状に何か今年の抱負とか書いてなかった?」「探してみる」等々。この程度の会話を口で交わせばあっという間ですが、文字を使って時間差で書き込むわけですから、短い言葉の中にも各自の熟考の積み重ねがあります。
こうしたやり取りの結果、いつか自分の旅行記を自費出版本にまとめたいと言っていたおじさんにはグレードの高いカメラだろうということで、デジタル一眼を候補にしてみることに決めました。さっそく他の親戚と相談したら、いい目の付け所だと大賛成をいただき、実際に贈ってとても喜んでいただけました。わが家の文字コミュニケーションの成果です。
最近のわが家は自治会の仕事も色々引き受けていますので、そういう関係の相談も置き手紙式で行います。たとえば「○○の集いのキャッチフレーズが欲しい。家族で参加したくなるようなうまい言葉を募集中」といった感じです。父の置き手紙には、文鎮のつもりなのでしょう、いつも必ず醤油差しが乗っかっているのがお約束です。
母はもっと気軽に置き手紙を使います。「来週の献立の予定考えるから食べたい物があったら書いて」などがその代表例ですが、そのほか、直接口で言うと角が立ちそうなことに置き手紙を使うのもわが家の習慣です。
たとえばこんなのがありました。「誰かさんへ。生えてる毛と同じくらい抜けた毛のことも気にしてよね ―お風呂場掃除をして一言」。シャンプーの後はタイルに貼り付いた髪の毛くらい片付けてから上がってよねということですが、父は再三言われていたのに、いつも忘れていたのです。これを読んだ父は頭に手を当てて、おい、俺って薄くなってるかと大慌てしていました。それを見た母はキッチンでお腹を抱えて大笑い。直接言われたらムカッとくることも、ワンクッション置くと和やかなコミュニケーションに変わります。
私は先日、「そろそろ車検だし買い換えないか。希望の車などあったら書いてくれ」と書いて置いてみましたが、母に赤ペンで「却下」と書かれてしまいましたw。
そうそう。ある朝母が、父に小さく畳んだ紙片を手渡していたことがありました。何かなと思ったら、その日は何と二人の結婚記念日。きっと「早く帰ってきてね」とか書いてあったのでしょう。その晩幸せそうにワイングラスを傾けていた二人を見て、ああいう手紙のやり取りが今のわが家の置き手紙コミュニケーションの源流になっているのかなと想像しました。まだ電子メールがなかったころの若い二人の習慣が今に続いているとしたら。ちょっといいお話しですね。
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「氷水を要求する猫・猫のおなかをマッサージ」by id:iijiman
この夏は毎日、一日につき2〜3回、うちの猫「朔」が「氷水を要求」します。
猫は獲物(小動物)の体温に近い、ぬるい水が好きだという話を聞いていましたが、この夏の暑さには耐えかねるようです。
http://neko-cats.com/sommelier_water.shtml
私たちがアイスコーヒーを作ろうとして冷蔵庫の冷凍室を開けると、その音に反応して、にゃあにゃあと要求します。・・・続きを読む
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「雨の日は掃除日和」by id:ekimusi
昨日はせっかくの平日の夏期休暇でしたが、あいにく天気は朝から雨の予報。
そして我が家では、お出かけ日和ではない雨の日は「掃除日和」なのです。
毎回ではありませんが、小さい頃から雨の日には窓を拭くように言われていて、そのまま結婚後も雨の日の窓拭きはなんとなく習慣となっていました。
和室の障子を開けたら窓の汚れが目に留まったので、・・・続きを読む
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「猫が起こしに来てくれるイエ」by id:YuzuPON
わが家の猫は早起きです。というか、猫は本来夜行性のはずですから、早朝は猫にとっては私達人間の深夜に当たるような時間帯なのでしょうか。とにかく朝になると、猫がみんなを起こして回ります。
猫はだいたい毎晩私のベッドに潜り込んでいますが、朝になるといつの間にか抜け出して、父母の寝室に向かいます。・・・続きを読む
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「我が家の冷蔵庫ギャラリー」by id:maruiti
冷蔵庫に、在庫メモや買い物メモ、レシピなどを貼りつけるのは我が家だけの習慣ではないと思うが、我が家の冷蔵庫には保育園から持ち帰った子供たちの作品などがたくさん貼りつけられていることだ。
今はさしずめ動物園状態。
「座ったゾウ」 に「空とぶペンギン」、「笑顔のライオン」などがいる。・・・続きを読む